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大福頭のそれとは比べ物にならない威力の弾幕が降り注ぐ
もはや雨すら凌ぐ鉄鋼の矢は、ガトリングから放たれている
六本脚は脚が遅く回避が間に合わない、ことごとく大破
二本脚は全速退避で逃げおおせたが、離脱出来たのは数機のみ
「隊長!見捨てないで下さい!助けッ」
息がある機体に、巨大な砲弾、爆発
バズーカによる砲撃である
「し、死神め、怖かねぇ、怖くなんかぁ!」
若いパイロットの一人が、それ、に銃口を向ける
しかし、バズーカの無慈悲な一撃は、攻撃を許さなかった
若い命は、死神により、他の機体ごと爆風に包まれる
「アンナ、ごめんな…」
唐突に現れ、無慈悲な攻撃で死神は、一分足らずで魂を、粗方持ち去った
輸送機の中、ほぼ無傷なタナトスの修理ドック
オペレーター・ミシェルがパイロットに話し掛けていた
「大きな怪我がなくて安心しました、いつも無茶な戦いかたですよ、次は気をつけて下さいね」
心配するミシェルは、少々怒っているらしい
可愛らしいブロンドが、揺れている
鉄臭いドックの中、タナトスの上から二人に声が掛けられる
「夫婦喧嘩なら他所でやったらどうだい?」
初老の整備員、ラドリー
彼は髭を撫でながら、ミシェルをからかう様に言った
頬を赤くし、ラドリーを無視しながら、オペレーターは話を続ける
「あなたが、私の親の借金保証人の遠い親戚だと、そして傭兵として借金を協力して返すって聞いた時、私思いました」
またブロンドが揺れる
「優しいひとだな、って」
ミシェルは静かに立つ黒鉄の巨像に顔を向けながら、
「戦場で生きるのが辛いなら、辞めたいなら、言ってください、あなたは死神なんかじゃありません、その名前はこの子が持っています」
優しく微笑んだ
輸送機は、死神を載せ、飛び続けた
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