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「え……?」
俺は相楽先輩の言葉に驚いた。
俺は相楽先輩に朔一の事を話した事が無い。
なのに、何故俺が朔一を好きだと分かったのだろうか。
「何で……」
俺は相楽先輩の服を掴んだ。
「何で知って……」
相楽先輩は何処まで知っているのだろうか。
俺が俳優の夏條咲をただ熱狂的なファンとして好きだと思っているのか、それとも…。
「お前が、夏條咲の話しになると逃げるように消えるのは、ただ夏條咲が嫌いだからかなと思ってた」
相楽先輩は、俺の目を見ずに話し始める。
「でも、この間たまたまお前の携帯の待ち受けが見えて……」
「!!」
俺は目を大きく開けた。
「嫌いじゃなくて、好きなんだって知った」
俺の待ち受けは、別れの時に二人で撮った物だった。
誰にもばれないように人がいる時は隠していたが、まさか見られていたなんて失態だ。
「ただのファンじゃないんだろ…。夏條咲の表情見ても、お前の表情見てもそれ以上に見える」
相楽先輩は勘だけどと言うが、それは当たっている事で俺はどうしようか悩んだ。
朔一にとってスキャンダルは一番あってはならない事。それも、男と付き合っているなんて知られたら、朔一は世間から叩かれてしまう。
「さ…っ相楽先輩…、お願いします…っ、だ…誰にも言わないで…、言わないで下さいっ…」
俺は縋るように相楽先輩に頭を下げてお願いをする。
俺が一番したくない事は、朔一の重荷になる事だ。
絶対、絶対に知られたくない。知られては駄目だ。
「千夏………」
「お願い……っ、お願いします…っ…」
相楽先輩が俺の身体を優しく包んだ。
朔一よりも身長が大きな相楽先輩の身体では、俺の顔は肩よりも下になる。
息が急に苦しくなり、視界が暗くなる。
「何で……、っ何であんなのなんだよ!!」
「先輩……」
「女優と熱愛だとか、泊りだとか、色々噂になってるじゃねーかッ!!何で…、何でお前だけ、一人で想い続けてるんだ…。何で……」
「先輩…っ…」
「何でこんなに想ってる奴を置いて熱愛報道なんて出すんだよ……。お前が……千夏が可哀想だ……」
相楽先輩の俺を抱き締める腕の力が強くなった。
その力は痛さを感じたが、でも痛いとは言えなかった。
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