第3章

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 雪はまだ降っている。  さっきよりも大量の雪が俺の肩に積もり、視界が白くなり始めた。 「白……」  地面も白く覆われ、誰かが通った証の足跡は雪で被さり、誰も通っていないように綺麗になっている。  アパートは寒いだろうなと思うと、心まで寒くなる。  俺が朔一と離れて分かった事は、自分は意外に寂しがり屋な部分があると言う事だった。  両親が離婚してから、俺を祖父母に預けて自分達は新しい家庭を築いたと聞いても何とも思わなかった。  俺には祖父母がいて朔一もいる。  だから一度も寂しいとは思った事は無かった。でも、田舎から都会に来て自分の弱さに気が付いた。  祖父母と離れる時は、寂しいと言うより二人の身体の心配の方が強かった。  もう70歳になる二人を残して朔一を追って都会に来た。  祖父母は俺が東京の大学に行きたいと言うと、何も言わずに賛成してくれた。  たぶん、俺が朔一を追って行く事を知っていたのかもしれない。  それは朔一の母親も一緒だった。  俺達の関係を朔一の母親は気付いていたと思う。  俺が東京に行くと聞くと、泣きながら「ごめんね」と「ありがとう」と言って来た。  たぶん、俺達を離した原因が自分にあると未だに引きずっていたのかもしれない。  「ありがとう」の言葉は、俺が朔一の元に行くからか、それとも未だに想い続けているからなのかは分からない。  でも、俺にはその言葉が嬉しかった。  朔一の母親は俺が東京に行くと聞いてから、一番心配していた祖父母の事に触れてくれた。「二人の事は心配しなくて良い」そう言われた時は泣きそうになった。  母親の愛情を受けた事が無い俺にとって、朔一の母親は理想の母親で、こんな母親が欲しいとずっと思っていた。  それは祖父母もそうだったみたいで、朔一の母親を娘のように可愛がっていた。勿論、朔一の事も本当の孫のように可愛がっていた。
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