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家族同然の関係。
朔一と俺は本当にいい環境で育ったのかもしれない。
そんな事を考えていると、三人に会いたくなってしまう。
会って何を話せば良いか分からないが、でも会いたい。
「帰るかな……」
朔一に会う為にここ(都会)に来た。
でも現実は甘くはない。
ここに来ても、あまり田舎とは変わらない。
キラキラ光るネオンや、人の多さ、高いビル。それを求めて来たわけじゃない。
朔一を求めに来たのに、宣伝の等身大の喋るはずが無いパネルや、箱の中で映る朔一にしか会えない。
何も変わらない。
何処にいても、朔一との距離は縮まら無い。
「会いたいよ……サク」
どうしたら会えるのだろうか。
考えても、考えても、考えても良いアイディアは浮かんで来ない。
分かる事は、朔一が俺に会いに来ない限り、俺達は会えない。
「サクが来なきゃ…俺達…いつ会えるの……?」
誰もいない道で誰かに問い掛ける。
応えは返って来るはずがない。
雪の冷たさが頬に当たり切なさが増す。
「俺は、俺はここにいるよ……」
アパート近くで止まり、涙を流す。
瞬きをすると大きな滴が下に流れる。
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