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『この電話の持ち主の方のお知り合いですか?』
相手の男は、その携帯の本来の持ち主ではないようで、詳しく話を聞くと、私は知らない番号でも相手の電話帳には私の番号が登録されていたようで、しかも短縮登録で一番手前に私の名前はあったそうです。
不思議に思い、更に詳しく聞いてみると、私は驚きを隠せませんでした。
その電話の持ち主は、Uだったそうです。
しかし私は、Uと番号を交換した覚えはありません。
なのにUの携帯には私の番号が登録されていたそうです。
それにより少し鳥肌が立ちながらもまた更に詳しく話を聞くと、私は頭の中が真っ白になりました。
『この携帯の持ち主の方は、前日の早朝に交通事故に遭い意識不明の重体です』
Uは、事故で重傷になったそうです。
私はショックで言葉を無くし、もうしばらく話を聞いて電話を切り、その帰り道にある事を思い出しました。
前日の朝といえば、左肩に謎の血痕が付いていた時間でした。
ただの偶然かもしれませんが、あまりにもピンポイントに時間が合う為、私は震えが止まらなくなりました。
家に着くと、何故か携帯の電源が切れてました。
すぐに充電器を挿し込んで電源を入れても、何故か付きません。
何気なくバッテリーを外して中を確認してみると、私は今日一番驚きを隠せませんでした。
その中には、長い黒髪がバッテリーの裏側に不自然に絡み付いていました。
当然ながら、そんなところにこんな長い髪なんて、入り込む筈がありません。
その時、ふと脳裏にUの顔が浮かびました。
『いつも優しくしてくれて、ありがとうございます……』
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