背後の視線。

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高校の時、私は友達が住むマンションに遊びに来ていました。 この建物の構造は、踊り場を挟む階段のすぐ目前には小さなエレベーターが構え、その階段の中央は最上階から筒抜けになっており、覗き込めば一階まで見下ろす事が出来ます。 その最下層の階段の一段目に二人は肩を並べて腰を下ろし、何でもない会話を交わしていました。 そんな中、私は突然ふと違和感に気付きました。 丁度真上の頭上から、ハッキリと視線を感じました。 その視線は、三階の踊り場から覗き込まれているような、そんな何とも言えない強いものでしたが、すぐにハッと見上げてみてもそこには誰もいません。 私が不自然に上を見上げている事を疑問に思った友達は、何気なく私に尋ね、それに対し私はすかさず返そうとすると、無意識に視線が強くなったような気がしました。 それは恐らく、一瞬にして二階の踊り場へと移動したようでした。 普通の人間だったらあり得ないスピードで、三階から二階へと移動したその気配に対し、私は背筋の寒気が拭えませんでした。 そしてそのまた次の瞬間、強い視線は私達のすぐ背後…一階の踊り場から感じるようになり、私はすぐにバッと立ち上がり、友達の手を引いて急ぎ足で出口へと向かいました。 友達が戸惑う中、マンション出口のガラス扉の目前に差し掛かった時、私は見てはいけないものを見てしまいました。
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