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これは、まだ二十代前半のある年の夏頃の話です。
当時、同僚のMとN、そして後輩のTと私を含めた計四人で、心霊映像のDVDや怪談話にハマっており、ほぼ毎晩仕事終わりに集まっていました。
いつしかそれだけでは満足出来なくなった私達は、
「心スポ(心霊スポット)に肝試しに行こっか」
Nの提案に賛同し、Mの車で近くの心霊スポットを検索し、仕事終わりの深夜に行ってみる事にしました。
四人が初めて行った場所は、今は使われていない廃墟と化した線路のトンネルで、柵を乗り越えて中へ入りました。
するとそこには、私達と同じように肝試しを楽しみにきたと思われる大学生くらいの集団の姿もありました。
私が持参した懐中電灯を片手に、先にトンネルの奥へと入っていった大学生を見送った後、それに続くように私達も恐る恐る中へ入っていきました。
やはり中は暗く、懐中電灯を消せば何も見えず、砂利道の為に足場も悪く、それでも私達はゆっくりと進み続けました。
しばらく進むと、一つ目のトンネルを終え、久々に見えた月明かりに少し安心しましたが、休む間もなくすぐに次のトンネルへと進み始めました。
するとそんな中、
「えっ……?」
突然Tが、まるで誰かに声を掛けられたかのような様子でハッと振り返りましたが、そこには誰もいません。
正直私も、この時ずっと何かしらの違和感を抱いていましたが、それが何だったのかはわかりませんでした。
それでもしばらく進み続けると、行き止まりにぶち当たりました。
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