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それは、丁度トンネルの出口で月明かりも見えていたのですが、隙間なく鉄格子で塞がれており、そこから外へは出られそうにありませんでした。
渋々私達は来た道を引き返す事にしましたが、そこで私はある事に気付きました。
そこには何故か、私達より先に入った筈の大学生達の姿がなかったのです。
ずっと一本道を歩いてきた為、分かれ道もなく、こうして行き止まりにぶち当たったのなら、必ず何処かでスレ違う筈でした。
幾ら暗がっていたとは言え、四人いて誰もスレ違った事に気付かないなんて事はあり得ません。
背筋に寒気を感じた私は、他の三人に早く帰るよう促し、やや急ぎ足で進む中、
「どうした…?」
突然、懐中電灯を片手に先頭を進むTが、その場で崩れ落ちました。
それは、悪い足場で転んだのではなく、よろめいたという風でもなく、ただただ本当に突然全身の力が抜けて崩れ落ちたといった様子でした。
私はすかさず肩を叩いて様子を確認しましたが、
「すいません、力入らないっす…」
意識はあるようでしたが、何故か一人で立ち上がれないようでした。
そこで私はTに肩を貸し、懐中電灯は代わりにMが持ち、そのまま逃げるように進み続けました。
以降は何事もなく、Tも車の中では元に戻ったようで、後日になっても誰も何ともありませんでした。
それにしても、最初に出会ったあの大学生達は何処へ行ってしまったのでしょうか…?
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