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「何もないよな?」
「うん」
私とMはお互いの存在を小まめに確認し合いながらも手際よく全てを見回り終えると、他の皆が待つ一階へと戻る事にしました。
下層からは話し声が聞こえる為、帰りは特に迷ったりもせずにすぐ皆と合流出来ました。
続けて今度はTとK、そしてIの若い三人が行きました。
私達はずっと待ってる間、不気味に静寂が漂い、嫌な雰囲気でした。
耳を澄ましても三人の声は聞こえず、会話がない事を疑問に思っていました。
ここは所々床が抜け落ちて風通しもよく、辺りは人気もない為に静かで、普通の話し声なら何処にいても聞こえそうでした。
現に私とMも、屋上にいても下層から話し声が、微かですが確かに聞こえていました。
それから数分後、
「うわぁああぁぁぁ!!」
突然三人は、階段辺りから物凄い血相で駆け降りてきました。
何が起きたのかをすかさず確認してみると、
「二階の奥のエレベーターの上から、めっちゃでかい蜘蛛が出てきたんすよ!!」
その内容は、かなりしょうもない内容でした。
呆れ半分で、最後にNとAさんが上へ行こうとする直前、私は何気なく三人に尋ねてみました。
「お前らずっと無言やったん?」
しかしその答えは、驚きを隠せない程意外なものでした。
「何言うてるんすか、Kがずっと騒いでたでしょ?」
話によると、滴る水滴や先の蜘蛛のように、ちょっとした事でもKはずっと騒ぎ散らしていたらしいです。
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