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そんな筈はないと私はすかさず反論し、屋上にいても皆の話し声は聞こえていたと言うと、
「何言うてるんすか、多神君が行ってる間は僕らずっと無言でしたよ」
それに対する答えに、私は驚きを隠せませんでした。
確かに下層から話し声は聞こえてきました、Mも同じように聞いていました。
そして逆に、三人が上に行ってる間、確かに上からは何も聞こえてきませんでした。
一階にいても星空が見えるこんなスカスカの小さな建物の中では、あまりにも矛盾していました。
そういったやり取りの中で恐怖を感じたAさんは、次に上へ行く事を強く拒否し、仕方なくもう帰る事にしました。
そんな時、
「うわっ!!」
突然Iが、心底何かに驚いているといった様子で、慌てていました。
すかさず話を聞いてみると、
「今誰かに触られた!肩っ!」
まだパニクっているようで、うまく話せないようでした。
少し落ち着き、改めて話を聞くと、右端にいた筈のIは、右肩を触られた感触を感じ、すかさず振り向いてみてもそこには誰もいなかったとして驚き、突然騒ぎ出したそうです。
それには誰も信じなかったのですが、その異変に最初に気付いたのは私でした。
誰かに触られたというIの肩には、くっきりと水の手形のようなものが残っていました。
その後、私はMの車でNとTと四人で、Aさんの車でKとIの三人、各々が帰路に着きました。
それからは特に何もなく、私は一安心しました。
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