『ありがとうございました!』

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これはまだ最近(2015年6月現在)ですが、去年の夏頃の話です。 当時働いていた某中華飯店は、朝の4時まで営業してました。 深夜は私とバイトのH君と二人だけで、時間が時間なだけにやはり客足も悪く、特に平日はかなり退屈でした。 そんなある日、H君のサボりたい一心の一言で、 「どーせ客も来やんし、もう早めに閉めようや」 まだ閉店時間まで2時間近くあるのに、私も同じ気持ちでそれを飲みました。 しかし、最後にレジを閉める際に伝票から時間がバレてしまう為、店だけ閉めて私達二人は店に残りました。 客席の電気と看板の灯りだけ消し、厨房とスタッフ部屋だけ明るくして二人で適当に時間を潰していると、突然静かな店内に呼び出しベルが鳴り響きました。 このベルは、各客席に設置されているボタンを押すと鳴る音で、すかさず確認すると、11番テーブルのベルが押されたようでした。 客席の通路は"コ"の字になっており、9~11番テーブルは壁に阻まれて厨房からは見えない位置にあります。 店はもう閉めている為、当然そこには誰もいる筈はなく、客席の電気は既に消されている為、間違えて誰かが入ってきたとも考えられません。 私は恐る恐る確認しに行きましたが、やはりそこには誰もいませんでした。 その時店内には、間違いなく私とH君の二人しかおらず、呼び出しベルが鳴ったのは壁の向こう側にある席でした。
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