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少し小高い山の上。周りに広がるのは荒野の景色。そんな一角が突如光だし、二人の人物が現れた。
紅蓮の髪を持つシンと、空色の髪を持つキリトである。
だがキリトは到着した瞬間地面へと倒れこみ、プスプスと焼け焦げたような音を周囲へ発していた。
「あいつか。ターゲットは」
シンはキリトを離したと思ったらその場に放置し、自分の上空で旋回している何匹ものワイバーンを見据えている。
巨大な羽、岩をも砕く強靭なあご、全長10mを超えるような水色の巨体が、自分たちの上で空を悠々と飛びまわっている。
次の瞬間、その中の一匹がシン達に気づいたようで、急降下してきた。
「へっ。相手になってやるってか。おもしれぇ」
シンはどこからとも無く剣を取り出し、人間とは思えない脚力で空へと向かって飛んでいった。
「うぅ……ヒール……」
一方キリトは、言葉とともに自らの左手を輝かせる。それを自分の体に右手を当てると、彼の体が光り始め、ただれた皮膚が治っていった。
「……それでここは……」
治癒を終えたキリトがムクリと起き上がる。周囲を見回してみれば、と言うか魔力の流れを視線で追ってみれば、上空で剣を使って戦っているシンの姿。
「……また、残った敵の相手をさせられるのか……」
体力回復のためか、横になって上空の戦いを見つめるキリト。だが次の瞬間、巨大な魔力の収束を感じるとともに、シンの体が白く輝き始める。
「行け!! フォーリングストライク!!」
その言葉と共に、シンたちの更に上空に、膨大な質量の隕石が出現。回転しながら落下してくる。無論、キリトのいる位置も例外ではない。
「えええっ!! ちょっ!! 転移!!」
キリトは急いで起き上がり、魔力を練り上げる。極力遠方を意識し、転移魔術によってその場から姿を消した。
次の瞬間、隕石が地面に落ちる。巨大な爆発と余波が、周囲の木々をなぎ倒し、地面を抉り上げていた。
キリトは遥か遠方に姿を現す。隕石が落ちた場所の状況もよく見える場所だ。確認するとともに、シンも同じ場所に姿を現した。
「終わりだ。行くか」
「あ、うん」
再び二人はその場から消えた。隕石の落下地点には、もはや砂地しか残っていなかった。
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