第1章

4/4
105人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
***  クリスマス会は無事に終わった。  でも蘭丸だけは撮影の為に欠席だった。  蘭丸はもしかしたら今日が来れない事を知っていたのかもしれない。  そう思うと可哀想だなと思ってしまう。  今日は雪が降った。それは、初雪で、子供達を外に誘惑した。  クリスマス会に重なった初雪に子供達の興奮は最後まで収まらなかった。  俺も初雪で少し浮かれてしまい、生徒達に笑われてしまう部分もあったが、やはり初雪は何時来ても浮かれてしまう。  朔一との事を思い出すからかもしれない。  そんな遊びも喜びも、蘭丸は味わえなかったと思うとやはり可哀想だった。  明日は終業式、明日は来るかなと思うが、朔一に話すと、撮影は当日にしか分からないと言っていて期待は出来そうになかった。  蘭丸の役はドラマの中で重要らしく、朔一も本番以外で元気が無い蘭丸の事を気に掛けていた。  蘭丸は、撮影現場でも同い年くらいの子役の子達とは話さないらしい。  休憩になると携帯を開いて一人で過ごしていて、朔一が話しかけても反応が薄いらしく、今日の初雪も、子役の子供達ははしゃいで外に出て行ったが、蘭丸だけは一人椅子に座って携帯を握り締めていたと朔一は言っていた。 「なんとかならないかな…」  俺は職員室の椅子に座って頭を抱えた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!