第2章

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「ほら、寒かったろ? 中に入れ」  俺は笑顔で蘭丸を中に招き入れた。 「お邪魔…します…」  蘭丸は一礼してから中に入った。 「身体冷えてるな、風呂湧いてるから入れ」  俺は、蘭丸の身体が冷え切っていて服も濡れているのに気付き、蘭丸の背中を風呂場まで押した。 「俺も入ろうかな」 「咲君も!?」  蘭丸は朔一が一緒に入ると聞いて驚いていたが、何だか嬉しそうだった。 「千夏先生も入る?」  朔一が俺にウィンクして誘って来るが、それが冗談だと分かるので俺は馬鹿と小さく吐いて玄関に向かった。  蘭丸の靴は雪で染みていたようで、雪溶けが玄関に広がり、小さな水溜りが出来ていた。  こんなになるまで外で何をしていたんだと俺は不思議に思った。  朔一の靴は少ししか濡れてい無い。身体もあまり濡れていなかった。でもそれは車に乗っていたからだと思う。  だから、どんな経緯があって朔一は蘭丸をここに連れて来たのか、事情が気になった。
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