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朔一と蘭丸が仲良く風呂に入っている間、俺は作っていた料理を温め直していた。
今までクリスマスは、朔一と離れてた時は一人で過ごし、一緒に過ごしてからはずっと二人で過ごしていた。
それは、付き合い出した記念日も重なっている為、俺達には大切な日だからだ。
でも今日は今までとは違う。
俺の生徒であり、朔一との共演者でもある蘭丸がいる。
朔一が蘭丸の前で甘え出さないか不安だった。
酒が入らなければ大丈夫だと思うが、朔一を慕う生徒に朔一と付き合っているのを知られるにはいかない。
朔一の恋人が一般人の何も取り柄も無い男。
アイドルとか同業者ならば男でもしっくり来ると思うが、まさかのこの俺だと知れば蘭丸もショックを受けるだろう。だから俺は、今日が無事に終わるように心から祈った。
「先生……」
急に後ろから蘭丸に呼ばれた。
俺は不意打ちだったので身体をビクッとさせてしまい、慌てて後ろにいる蘭丸の方を見た。
「なっ、なんだ蘭丸。風呂から上がったのか」
蘭丸は、俺が風呂場に置いていた俺のジャージを綺麗に折って着ていた。
蘭丸にはぶかぶかのジャージは、いくら綺麗に折っても裾が床につきそうになっていた。
それは折り方が甘いからのようだ。
「蘭丸、足貸して」
「……?」
蘭丸は頭を傾げながら俺に右足を出した。
俺はしゃがんで蘭丸の右足から裾が床につか無いようにしっかりと折って、左足も同じように裾を折った。
「風呂、どうだった?」
俺は蘭丸に聞いた。
「よかった……」
「そっか、沸かしたばかりだから温かかっただろ」
「うん……」
蘭丸は少し照れながら頷いた。
「サクとは沢山話せたか?」
俺がそう聞くと、蘭丸の顔が急に輝き出した。
「うん。咲君本当にすごい人! 演技もすごいけど、身体もすごいんだ!」
俺はそんな話しをする蘭丸に相槌を打つ事しか出来無い。
蘭丸が言う身体とは何処の部分なのか、想像つくからだ。
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