第1章

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  「何か、理由でもあるんですか」 「そこまで、人件費をかけられないのですよ。ランチタイムが、この店の収入源です。しかしランチは、お客さんの単価が低いですから」 「そうですよね……」  それから少しして、三時になってランチタイムが終了した。  帰ろうとする私をマスターが引き止め、「お礼です」とケーキと紅茶を出してくれた。  最初は、アルバイト代を払うと言われた。  それは、「私が勝手に手伝っただけ」と断った。そうしたら、こうなった。  マスターは、自分にコーヒーを入れて、それを飲みながら話しかけてくる。 「初デートが流れてしまい、残念でしたね」 「男の人って、みんな仕事が最優先なんでしょうか」 「そういった方もいますし、そうでない方もいますよ」 「何だか、ズルい答えです」 「ははっ、困りましたね」 「前の彼氏の一矢も、バイト優先してデートをドタキャンしたし」
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