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ちなみに第一志望は公立の女子校だったが、力負けであっさり落ちてしまった。
親の負担を考えると滑り止めに受けた私立大学の付属高校に通うことに引け目を感じたが、他に進む道は無かった。
私は届いたばかりの新聞をまるで愛しい我が子を抱くようにして胸にかかえ、音を立てずにそろりそろりと二階の自分の部屋まで戻る。
四月。
午前4時ではまだ空は真っ暗で、星も比較的はっきりと見えた。
風は弱かったが、パジャマにトレーナーを肩から羽織ったなりでは、少し肌寒い。
家族は寝静まったまま、起きる気配もない。
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