1 忌み子

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1 忌み子

「久しぶりだねぇ。真宙、いくつになった?」 「十七です。冬和様は?」 「僕はもう」 生気のない瞳が天井を仰ぐと 細い喉仏が浮き上がる。 「忘れた。たしか三十かそれくらいだ」 冬和の部屋は昼間でもひどく暗い。 ほとんど薄日しか差さない。 窓には格子がはめられ どこも障子が閉め切られているからだ。
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