1 忌み子

1/33
31人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ

1 忌み子

「久しぶりだねぇ。真宙、いくつになった?」 「十七です。冬和様は?」 「僕はもう」 生気のない瞳が天井を仰ぐと 細い喉仏が浮き上がる。 「忘れた。たしか三十かそれくらいだ」 冬和の部屋は昼間でもひどく暗い。 ほとんど薄日しか差さない。 窓には格子がはめられ どこも障子が閉め切られているからだ。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!