春山修斗・1

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やばい。 めちゃくちゃ、心臓がドキドキする。 何も言えずにただ見つめていると、先生は呆れた顔で俺を見返す。 「春山。お前なに顔赤らめてんの?物欲しそうな顔しやがって。俺に襲って欲しいのか?」 「ーーーーッ!」 いきなり投げつけられた不躾な言葉に、全身がさらにカッと熱くなる。 「なっ、なんだよ、物欲しそうな顔って!してないそんなの!」 「はいはい、うるせぇ声だな、お前は」 大声で怒鳴る俺を鬱陶しそうに見つめながら、右手をポケットから取り出し頭をボリボリと掻く。 そんな仕草は気怠げという言葉そのものだ。 「……先生、あんまりコイツからかわないで下さい。精神年齢お子ちゃまなんだから」 顔を真っ赤にしている俺の隣で、冷えた声と目付きの玲二が溜息交じりに言葉を吐く。 何か言わなきゃいけないような気がして、俺はよく考えもせずにとりあえずうんうんと首を縦に振った。 「そ、そうだよ!変なからかい方っ……て、おい!?精神年齢お子ちゃまってなに!?」 「あ、ごめん。年齢ちゃんと言った方が良かった?十一歳ぐらい?」 「何それすっげー微妙!!変にリアル!!」 ぎゃあぎゃあ吠える俺をサラリと流す玲二は、そのまま再び視線を先生に向ける。 「てことなので、先生。セクハラはほどほどに」 釘を刺すようにハッキリと喋る玲二に、先生は肩をすくめながら眉を少しだけ寄せて見せる。 「じゃあ世田、お前が相手してくれる?」 ヘラリと笑うその顔は、楽しそうで意地が悪くて。 はぁ?と苛立たし気に呟く玲二の隣で、 「お、おっ……俺が相手するし!!」 そう無意識の内に叫んでしまったものだから。 二人の丸く点になった目が、射抜くように同時に俺を見つめた。
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