春山修斗・1

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先生はいつだって、気軽に生徒へセクハラ発言を繰り返す。 けれど決まって。 本気で返そうとすると、はぐらかされる。 切り捨てられる。 なんで? なんて、聞くだけ野暮だ。 馬鹿らしい。 興味がない。 ただ、それだけのこと。 だからって、俺の気持ちは簡単には消えてくれなくて。 先生が、悪いんだ。 あの日。 サッカー部の練習も終わって門が閉まるまでの間、俺はずっと無茶な練習をしていた。 補欠組からレギュラー組になりたい思いでとにかく必死で。 それは勿論今もだけど。 ただ、気持ちばかりが焦って、基礎も程々につい大技を試してしまう。 そして結局、砂で滑って肘を大きく擦りむいた俺に、先生が声をかけて来た。 『ドジだなーお前。見てやるから来いよ』 帰るつもりだったのか、鞄を肩にかけていた先生は、 そのまま目を丸くしている俺を連れて保健室に戻ってくれた。 『お前、いつもあんな無茶な練習してんの?』 肘の手当てをしながら言う先生に、俺は気まずい思いで微かに頷く。 どうせ、早く帰れって言われるんだろう、とか。 そんな風に思ってた。 なのに。 『まぁ……水曜日は俺も遅くまでいるし、怪我した時は素直に来い』 そんな風に、先生が笑って言うから。 簡単だった。 恋に落ちるのなんて。
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