春山修斗・1

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「おーい、修斗。今日食堂?」 昼休みのチャイムが鳴り、教室で弁当を食べる生徒達が机を自由に動かし始める。 そんな中、友達の世田玲二(せた れいじ)が財布片手に俺の方へ歩いて来た。 いつもクールで、だけど世話好きな玲二はいわば親友ってやつだ。 同じサッカー部でこいつはレギュラー組だけれど、俺の個人練習にもよく付き合ってくれる優しいやつ。 顔だってイケてるし、こいつが女子にモテているのも心から納得だ。 「うん、食堂。お前は?」 「俺も。行こ」 さっさと歩き始める玲二の後ろをついて行きながら、今日は何を食べるか頭の中で考える。 昨日は鶏南蛮ネギうどんだったから、今日は蕎麦にするか? いや、ラーメンもいいしな。 味噌ラーメン、醤油ラーメン、豚骨ラーメン…… あ、焼きそばでもいい。うん。 「…………お前、また麺類にする気だろ?」 横目で呆れたように見て来る玲二を、俺は目を丸くしながら見返した。 「え、なんで分かんの?」 「ったく……どんだけ麺類好きなんだよ」 「えー?何でだろ。なんか、好き」 「相変わらず単純というか、何と言うか……」 隣を歩く玲二は溜息を吐きながら、あやすように俺の背中をポンポンと叩いた。 なんだよ。 麺好きなんだもん。 悪いかよっ。 むすッと膨れた顔をしていると、玲二から極め付けの言葉をいただく。 「ガキ」 言われて落ち込むのは、先生を思い出すから。 ガキな俺は、先生の視界には入らない。 あーぁ。 本当、嫌になる。
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