春山修斗・1

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食堂はすでにたくさんの生徒で賑わっていた。 並んで食券を買いカウンターでおばちゃんに手渡しする。 選んだご飯は、やっぱり麺類である醤油ラーメンだった。 番号札を受け取ってから空いている席を確保しに行く。 「お前やっぱり麺じゃん」 「へへ、だって美味いもん。そういう玲二はカツ丼?お前こそ丼ばっかじゃんか」 そう反撃すると、一瞬だけ俺の方を見た玲二が何故かドヤ顔で。 「だって美味いもん」 口を尖らせながら俺の口調を真似して言った。 「真似すんなよっ!」 「はいはい、あ、あそこ空いてる座ろうぜ」 顔を赤くしている俺を残し、玲二はさっさと空いている席へ歩いて行く。 こいつは本当、イジるくせに最後まで付き合ってくれないんだからっ……。 ムスッと頬を膨らませながら椅子に腰を下ろすと、もう一度ガキだなと言われた。 うるさいっての!! どうせ俺はガキだよ。 先生にもこれっぽっちも相手にされてないガキだよ。 でも。 じゃあ、もし大人になったら先生は相手にしてくれる? そう想像しようとしても出来なくて、俺は溜息をこぼしながら机に突っ伏した。
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