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「あ、先輩達だ」
玲二がそう呟いたのは、俺がラーメンを半分近くまで食べた時だった。
ちゅるちゅると麺を一本吸い上げながら、玲二の見る視線の先へ視界を移す。
隣のテーブルの端に座っている三、四人の姿を確認し、その中の一人を見た瞬間一気に気持ちが沈んでしまう。
錦戸潤(にしきどじゅん)。
二年生にして、我がサッカー部のエースストライカー。
サラサラの茶色い髪に少しだけ目が隠れているが、その顔はいつも無表情に整っている。
あまり笑わない先輩はあまり喋る事もなくて、なんていうか本当に不思議な感じだ。
黙っているのに存在感があって、無表情だけど嫌味には見えず、なんだか彫刻のよう。
綺麗な綺麗な顔をした人形がいるような。
そんな、雰囲気。
「どうしたの修斗?」
不思議そうな玲二に声をかけられ、ハッと我に返る。
慌てて続きを食べながら、何でもない!と首を横に振った。
錦戸潤。
サッカー部のエースストライカーで、イケメン。
そして。
天堂先生の、特別な、人。
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