5 菊の咲く庭 ②

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「……ああ」 群れをなす篝火(かがりび)のような大輪の菊が 赤と藍に染まる毒々しい空に向かって首を伸ばす。 そして――。 そこに溶け込む 冬和の倦怠に満ちた微笑み。 「そうだよ、ずっとこうしたかったんだ……」 この世のものとは思えぬその光景に 思わず僕は泣き声のような吐息を洩らす。
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