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少女が座り込んで、何時間くらい経ったのだろうか?
少女は泣き止み、真っすぐ前を見据え立ち上がる。
その表情から、どこか悟ったように感じられる。
「本当に、この世界は楽しくない。
必死に生きてきてこの様だ…」
そう独り言を呟き、少女は屋上のフェンスを乗り越え下を覗く。
「やはり、下を見たのは間違いだったか……」
下には、先ほど生徒だったモノがゾロゾロと徘徊している。
少女はまた恐怖に蝕まれる。
震える足を必死に抑えるが、止まらず、目からは涙が零れ落ちる。
「最後は人間らしく、人間らしくだ……」
必死で自分に言い聞かせ、落ち着こうとするが、
それができなくて、さらに恐怖が増幅する。
自分の腕の肉を少し噛みちぎることで、恐怖を和らげる。
「最後まで人間でありたい。」
そう言って少女は、一歩前進する。
道など無いのに前進する。
これが彼女の選択。
人間らしくと決断した、人生最後の選択。
生に対する執着を自ら断つことが、自分なりの人間としての最善の選択
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