第1章

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昨年度まではまっすぐ登校していたんだけど、今年度からは私に新しい朝の日課が増えた。 お隣の幼なじみの七瀬宏介を起こして、一緒に学校に行くという日課が。 「おはようございます」 程々に元気よく、七瀬家の玄関を開けて入っていくと、七瀬のおばさんが暖かく迎えてくれた 「あら、優歌ちゃん。 今日もごめんなさいね。」 申し訳無さそうに手を合わせて謝るおばさん。 はっはぁん…さては……… 「わかりました。 フライパンとお玉を貸してください。」 慣れた様子でそう言う私に、こちらも慣れた動作で台所に行きフライパンとお玉を持って戻って来るおばさん。 私はその二つを持って二階へと登っていき、幼なじみの部屋の扉を開け放つ。 やや散らかった部屋。 ベッドの上で至福の表情を浮かべ夢の中にダイビングしている幼なじみが居た。 そう、お隣の幼馴染は朝がとてつもなく弱い。 そんな一つ下の幼馴染を視界に捉え、息を吸い込み………… 「秘技! 『死者の目覚め』ッ」 ガンガンガンガンガンガンガンガン お決まりの「フライパンの底をお玉で乱打する」目覚ましを開始する 音に驚いて飛び起き、拍子にベッドから転げ落ちる一つ下の幼なじみを見て、私はお腹を抱えて笑いを堪える。 こんなマンがのような、平和(?)な日常とのお別れがもうすぐそこまで迫っている事を私は勿論、誰も知らない。
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