ゾンビアンドフィッシュ4

2/33
前へ
/33ページ
次へ
「葵さん、どうした?」 スマホのアルバムに、あの夜の一部始終が残されていた。 それを再生することはしないまま、 「……岩田くんの悪趣味って?」 兄である岸島さんに、人間性のよくわからない鬼畜の事を尋ねた。 「弟ながら、こんな話するの恥ずかしいんだけど、 アイツは、女に苦痛を与えるのが好きなんだよ。 そして、お金にだらしない。 もしかして、財布からお金抜かれてなかった?」 最低、ほんとに最低。 「気付かなかったです」 そんなに財布にお金入れてないし、カード類は一切ない。 「そうか、なら良いけど、何か気づいたら何でもいいから連絡ちょうだいね、あ、そして、これ、夜に突然来たお詫び」 青ざめたままの私に、 岸島さんは黒焼酎らしきものを手渡す。 「あ、ありがとうございます」 「葵さん、結構イケる口みたいだったから。 じゃ、お邪魔しました、おやすみ」 何だか、高級そうな包みに入った焼酎。 こんなの貰ったの初めてだ。 本当に紳士的。 玄関だけでやりとりして悪かったかも。 パタン……と閉まる音で、ハッと嫌な現実を思いだし、 恐る恐る、いつのまにか録画されていた動画を再生する。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

136人が本棚に入れています
本棚に追加