カラスの唄

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カラスが、電線に止まっている。   カー カー 「カラスの勝手ですか・・・」 そう呟きながら一平は、ゴミ収集車に袋に入ったゴミを投げ入れる。 「一平、終わったか」 運転席から野川が声を掛ける。 一平は、地元の高校を卒業し役所に勤め、清掃課に配属され5年が経とうとしていた。 野川は、上司というよりパートナー、一平とコンビを組んでいる。 一平より20以上歳が離れている。上司と言うより、親父みたいな感じであった。 5年も勤務していると、ゴミの収集も慣れたもので、集積場所のカラスにまで人気がある様だ。 いつも、一羽のカラスが後をついてくる。 「一平、今日もクロついて来ているのか」 カラスの呼び名も決まっていた。 「クロ、今日もいますね」 午前中の回収が終わり、昼食を回収ルートの途中のパーキングで弁当を食べる日課であった。 一平は、弁当のオカズを一品、クロに食べさせるのも日課であった。 オカズを食べているクロに一平は、 「クロよ、たまには俺にも何か分けてくれないかね」   カー カー その様子を見ていた野川は、 「一平、クロが返事してるな。これは良い事があるぞ」 クロは何処かへ飛んで行った。 「野川さん、カラスですからね」 「期待しないで、待ってるしかないな一平」 時間になり、午後の回収に向かった。
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