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「月っていつも同じ方向むいてるでしょ、なんか月齢で形が変わる感じとか夜だけじゃなく昼もそこにいてくれる感じとか。ちょっと引力感じちゃうところがイメージ合うかも。ミステリアスな部分と安心できる部分。相反するところが混在してる、そんなひと。たまらなく魅力的だよ」
「………」
自分でもしっくり来た。ちょっとびっくりして言葉も出ない。
「月と太陽…」
「何それ。なんかのタイトル? 」
「月は太陽の光を受けて月光になるんだよな」
「うん。それが? 」
「俺はオマエのこと太陽みたいだなって思ってるから、俺たちの関係って、まんま月と太陽みたいだなって。だって俺の原動力はオマエを想うことだから」
「俺が太陽? 」
「うん。俺だけのアポロン。…オマエがアポロンだとホントにまんまギリシャ神話だな。生きてる彫刻だ」
長谷川が満面の笑みで語る。
「長谷川さん…」
その笑顔に煽られて貴弘は長谷川の手を掴む。
その先を予感して長谷川は強く手を握り返した。
案の定恋人が向かうのはベッドルームで、でも気持ちも身体ももう、その気なのは長谷川も一緒だったので構わなかった。
おわり
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