第一章:瀬尾誠

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「副部長である私に……いい度胸ね。 あなた……しのぶさんの事が好きなんでしょ? だからそうやって男らしい態度をわざとらしくしている。 実際はたいした度胸も無いくせにね……」 「なっ……」 冷やかな目で呟く岩田さんの言葉を聞いた達也は顔を赤くし、眉間に皺を寄せる。 「ねぇ……部長。確か、7月のキャンプ地ってまだ決まって無かったわよね?」 岩田さんはスマホ画面にカレンダーを表示させて7月の欄を見せてくる。 「キャンプの日は確か今日から3週間後の7月9日土曜日。 今回の行先はT県山麓なんてどうかしら? この生意気な達也君の度胸が見たいからね」 岩田さんは達也を見下しながら俺に告げた。 「ダメだ。こんな場所には皆を連れて行けない。 そもそも、テントが張れるかどうかも解らないしな。 心霊スポットなんかに行って事故にでも遭ったら大変だろう? 俺と岩田さん、そして清一郎にとっては最後のキャンプなんだ。 そんな場所は選べない……」
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