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「どうした?忘れ物か?」
俺は清一郎の座っていた場所に視線を送りながら問い掛ける。
「いや、しのぶさんの事なんだけどね……。
誠、気付いてると思うけど、彼女もお前の事が好きだよ。
だから、鈴さんとは内緒で付き合ってるんだろ?」
清一郎の言葉に鈴が目を丸くして停止する。
「えっ、もしかして鈴さん知らなかった?
しのぶさんと友達だから、てっきり知ってるもんだと思ってたよ。
彼女、誠を見る表情だけいつも女の目になってたからさ。
ごめんね、僕……そういうの敏感で。
それじゃあ、帰るね」
爆弾発言だけを残して去って行く清一郎。
鈴は目に涙を溜めて俺を問い詰める。
「もしかして、しのぶの気持ちを知ってて私にモーション掛けてたの?」
「ハッキリと好きとは言われてない。
好意があるような素振りはたまにして来てたけど、俺は達也がしのぶの事を好きなのも知ってるし、何より鈴の事が好きだったから……」
「もういいよ。
付き合っていることを2人だけの秘密にしようって言った意味が今日解った。
それに、前々から思ってたけど、私と同じようにしのぶって呼び捨てにしてるのも嫌だった!彼女でも無いのに」
鈴は眉間に皺を寄せながら俺にそう告げ、部室から飛び出した。
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