第二章:川口鈴

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ここは、慶京大学のすぐ近くにある喫茶店スモッグ。 私は、困った表情で俯いている誠に問いかけていた。 しのぶの件はまだ完全に許してはいないが、誠からの愛はしっかり感じている。 だからこそ腹が立つし、ヤキモチだって焼くんだ。 学年でも五本の指に入るくらいのイケメンと言われている誠だが、優柔不断な部分がたまに苛々する。 そんなことよりも今は、7月のキャンプ地を落崖村行きにならない為にどうするべきかを考えないといけない。 「どうすればって言われてもな。流石にキャンプ地に落崖村は選べないよ」 頭を掻きながら私に言葉を返す誠。 「でも、達也君は挑発されて黙ってるタイプじゃ無いと思うよ? もう、部長権限で別の場所に決めちゃったらどうかな?」 私がそう提案すると、誠は溜息をつきながら言葉を返してくる。 「岩田さんの意思を押さえつけるって事か? 鈴、あの子の親が誰か知ってるだろ?」 「慶京大学学園長……岩田幸三(いわたこうぞう)でしょ?」 「そう……。もし俺らが岩田さんを仲間はずれにしたなんて噂を流されて見ろ! あの学園長に何されるか解らない……。 卒業や就職に響く可能性だってある……」 誠は溜息をつきながら、珈琲カップを口に運ぶ。
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