第二章:川口鈴

3/20
5923人が本棚に入れています
本棚に追加
/430ページ
「でも、他の場所に決めたとしても、達也君が黙って無いかな? 彼、負けず嫌いだし……」 「だとしても、落崖村って場所が安全か解らない以上、行くわけにはいかない」 誠はそう言って珈琲を飲んで窓から外の景色を見つめる。 「私は……絶対に安全な場所じゃないと思うんだよね。 オカルト研究会の生徒が消えたのも、もしかしたら落崖村が原因かもしれないじゃない?」 私が呟くようにそう言うと、誠は口を閉じたままコクりと頷いた。 「とりあえず、キャンプ地の候補をまとめておくよ。 岩田さんももしかしたら気が変わるかもしれないしな」 誠はそう言ってスマホでキャンプ地の検索を始めた。 「軽井沢とかは?」 私がそう提案すると、誠は眉を顰めて口を開く。 「ここからだと5時間以上掛かる。せめて3時間くらいで行ける場所にしとかないと。 軽井沢、行けるなら俺も行きたいけどな」 私に優しい笑顔でそう告げた誠は、キャンプ場の画像をスマホに表示させて見せてくる。 「ここ、どう思う?」
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!