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Episode*01
一年でもっとも早く日が沈む季節、冬。
「寒……」
白い息を口から吐けば、徐々に闇に溶けていく。
暗い夜道を歩きながら、瀬山美優は寒さを凌ぐ様にマフラーに口元を埋めた。
「あれ…?」
家につくと、灯りはなく両親が出張で一週間帰って来ない事をお思い出す。
携帯の光を頼りに鞄の中をあさり、鍵を探し出した。
家はシンとした空気が漂っている。
ダイニングに向かい冷蔵庫を開ければ、冷たい空気が美優の頬を撫でる。
少し身震いをし、小さく溜息を吐いた。
「何もないじゃん…」
時計の短い針は、七を少し過ぎたあたりを指していた。
「(作ってる時間ないな…)」
美優は荷物だけ置くと再度家から出て近くのコンビニへと足を進める。
見上げれば、今にも雪が降りそうな寒々しい空が広がっていた。
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