Episode*01

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「あー…じゃあ、お願い。」 美優はそう答えて、弁当を片手で優の方へと押しやった。 「…えっ?」 その瞬間、包まれた体。 優はカウンター越しに美優を抱き締めていた。 「ぁ……」 (名前)は理解する事ができず、硬直していた。 どれくらいの時間がたった か… 「_____…温まりました?」 妖艶な笑みを浮かべながら、(名前)の耳元で囁く優。 びくり、と体を震わせ我に返った(名前)はどんどん顔を赤に染め上げていく。 「なっ!!温めるって…弁当のことじゃ…っ?!」 「寒そうでしたので、先輩のことを温め様と思って。」 キッ、と鋭く優を睨み付ける美優。 そんな美優を、余裕の表情で見下ろすと、続けて言う。 「先輩は馬鹿ですね、僕がいつ弁当を温めるといいました?」 怒りか、羞恥か… 一層、顔を染めあげる。 カウンターに置いてあった冷たい弁当を乱暴に手にとると優に背を向けた。 「あ、先輩お釣り。」 「いらないっ!!馬鹿!」 美優は振り返る事はせず、出て行った。 訪れる静寂。 「(……行っちゃった)」 優はガラスの向こうに目をやる。 しんしんと、真っ白な雪が積もり始めていた。
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