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「はぁ・・・やっとついた・・・足クタクタだよぉ」
家に帰ってきたボクとお夏さんは食材を勝手場に置くと居間で休憩していた
だけど、お夏さんの顔は晴れない
多分あんなことがあった後だから気持ちが切り替えられないのかも
そう、思っていたけど
「奏歌ちゃんは、私と会う前からその刀を持ってたけど、剣術の心得でもあるの?」
お夏さんの張り詰めた空気にボクはなんとなく正座した
「剣術の心得ならあるよ。でも、どうしてボクがこの刀を持っているのか、ボク自身にもわからないんだ」
そう、ボクがどうして桜月を持っているのか
ボクの記憶は、自分の名前と生まれ、そして、死んでどうしてかお夏さんと会った事しか覚えてない
お夏さんと会ってからの記憶はハッキリしている
なのにどうして死んだのか、ボクの死因が何なのか知らない
「・・・確かに初めて会った時は奏歌ちゃんの目には生きてるっていう光がなかったもんね」
「お夏さん・・・?」
「奏歌ちゃんは一年前と随分変わった。明るくなった。でも、私以外の人のことは全く信じてない。それはどうして?」
「・・・なんでだろ。恐い、から・・・ううん、違う。嫌いだから。お夏さん以外の人間は」
「なんで、嫌いなの?」
「・・・・・・から・・・・・・」
「え?」
「すぐに、裏切る・・・から・・・」
「私は裏切らない」
「だからお夏さんのことは信じてる。ボクにとって、貴女は家族だから」
「うん」
ボクは、なんでここで生きてるんだろ・・・
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