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「さてと」
壬生寺に着いたボクたち
ボクは階段に腰掛けると空を仰いだ
「お夏さんも座りなよ」
「何がしたいの?奏歌ちゃん」
怒ってるなぁ
「そんなに怒らないでよ。ボクは彼らにただ言いたいことがあるだけなんだから」
「奏歌ちゃん・・・」
「ねえ、そこに居るんだろ?どうしてまだ隠れてんの?早く出てきなよ」
「奏歌ちゃん、何言ってるの?」
「お夏さん、少し休んでよ。疲れてるでしょ?」
ボクはお夏さんに微笑むと立ち上がり、お夏さんの頭を撫でた
「そう、か・・・ちゃ・・・」
「・・・ごめんね、お夏さん」
「スー・・・スー・・・」
ボクはお夏さんを眠らせた
少しの間だけだけど・・・
お夏さんは優しすぎる
だからこそ、怒ってくれる
でも今は、お夏さんには黙っていて貰いたい
だから、眠らせた
「何したの?」
「少しの間だけ、眠ってもらったんだよ。大丈夫、死んでないから」
やっと出てきた
チャラい奴と、眉間に皺を寄せているやつ
「どうして、ボクらの事をつけまわすの?」
「え?別に意味はないよ」
「意味が無いのにつけまわすの?悪趣味だね」
「御託はいい。用件を言う。俺達と来い」
「やだよ」
「あ?」
「やだって言ったの。聞こえなかった?」
「キミさ、自分よりデカい相手を五件先の家まで吹っ飛ばしてたでしょ?その強さを見込んでだよ」
「・・・ボクは強くない」
「強いよ」
「腕節だけだ。それに、ボクはキミらと関わりたくない」
「どうして?」
「ボクは、平和に暮らしたい。ただそれだけだよ。争いは好きじゃないけど、この人に手を出す奴が居るなら、ボクはこの刀を取る。ボクの、大切な人なんだ。ボクの生き甲斐なんだ」
「じゃあさ、その人を連れて行ったら、キミも来るってことだよね?」
「その前に殺る」
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