忘れていいけど、忘れない

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  「タクちゃんに 好きだって言われた? ほんとに?」 章子が目を丸くして、 もじもじと俯くあたしの顔を 覗き込んでくる。 高2になったばかりで、 桜の花は散ってしまって、 町に若葉の匂いが立ち込める季節。 幼なじみの特権というか、 拓海さんに嫌われていないことは 知っていた。 拓海さんが色んな女の人 (年上の綺麗なお姉さんばかり)と 付き合っているのは知っていた。 でも、 特別な人はいないってことも、 知っていた。 .
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