忘れていいけど、忘れない

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  「脱がすとこから、やってやる。 俺が他の女に、どうしてきたか」 「……」 あり得なくない、それ。 「早く」 それでも、 拓海さんの言うことには逆らえない。 恋人の機嫌を損ねたくない、 っていうのはあるにはあるけど。 拓海さんの声と言葉には、 相手の意識を支配できる何かがあって。 あたしは自分の性分として、 それに従うことが悦楽の一つになっていた。 もそもそと服を着てから 立ち尽くしていると、 同じように服を着た拓海さんは 煙草の火を消して 同じように立ち上がる。 .
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