忘れていいけど、忘れない

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  だから、そういう女の人達に 眉を顰められていることを知りつつ、 あたしはいつも堂々と 拓海さんの隣を 陣取っていたんだけど。 恋心を隠して渡っていた 危うい安寧の日々を、 当の拓海さんがあっさりと ぶち壊してくれたのだ。 “志緒も17になることだし。 そろそろ付き合うか” “──え?” “好きだよ。 だから俺のになって、志緒” 煙草を蒸かしながら、 まるで「散歩でもしよう」なんて 口にするようなノリで。 それが当たり前のことのように、 拓海さんが言ってくれたから。 .
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