第四話 一途なひまわり 前編

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「ああ、はい。一度戻って来られてから車で帰られましたよ」 一瀬さんにそれとなく聞いてみたら、そう教えてくれた。 だったらなんで車で送ってくれなかったんだろう。 車なら駅まで三分くらいだし、昨日は降られはしなかったけど、雨の心配もあったのに。 もしかして、私と話をするためだけに? そう穿った見方をして、むっと眉を顰めたら。 「信也くんなりに、気を使ったんじゃないでしょうか」 考え込む私にマスターがコーヒー豆の袋の整理をしながら言った。 「……車という空間は、ある意味密室ですから。怖がらせないように、とか」 「え」 「結構、気遣い屋さんですよ、彼は」
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