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廊下に出た夢乃は、さあ教室へと帰ろう、と足を一歩、前に踏み出した
その時だった。
「…あ」
夢乃が立っている前方に、とある人物が立っている。
夢乃はその人物に、見覚えがあった。
彼女の前に立つ当の本人も「あ、」と、
驚いたのか声をあげながら、夢乃を視界に入れていた。
そこで、夢乃が口を開く。
「…貴方は。あの時の。
この場所を教えてくれた人…」
ポツリと夢乃が呟くと、
緑のグラデーションがかった髪の彼女の頬に、赤みがさし
「…えっと…また、会いましたね。」
クスリ、と照れた様な表情で、夢乃に言葉を返した。
「あの時は。お世話になりました。貴方のおかげで。良い新聞が書けそうです。
ありがとうございます。」
ペコ、と夢乃は、前にいる少女に頭を深々と下げる。
すると緑髪の少女は、先程よりも更に少し顔を赤らめて、夢乃に応対する。
「そ、そんな大した事してません…!
私はただ道を教えただけですよ!」
「その¨ただ¨が。私にとってとても良い事だったのです。感謝の言葉ぐらい。言わせて下さい。ありがとうございます。」
「あぅ…」
少女がいよいよ本格的に恥ずかしがり始めた時
夢乃はある事を思い出した。
「…あ。
名前を言うのを忘れてました。」
パチン、と夢乃は両手を合わせ、
少女に向かって自己紹介をし始めた。
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