プロローグ

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「それに比べてあなたは一人っ子って雰囲気ね。中途半端に味方されるのも嫌だから、むしろあなたみたいな一人っ子の方が楽に話せるわ」 「うっわ! それも分かっちゃうんだ!」 俺が一人っ子である事も当てられてしまい、俺はさらに感心した。 彼女があの先輩に対してなにも話してくれない理由が分かった所で、俺は改めて彼女に聞いた。 「さて。だったら話してくれないか? お前の事。お姉さんの事。なんでお姉さんを殺してしまったのかを」 「ええ、話すわ。あなたになら話してもいいと思ったから」 ――彼女の同意を得て、俺は早速取り調べを始めた。 取り調べで得た基本情報をまとめるとこうだ。 まず、彼女の名前は『楠木美紗(くすのきみさ)』。 年齢は15歳で中学3年生。誕生日は4月5日。牡羊座。AB型。学校では委員会や部活には所属していなかったそうだ。 被害者の名前は『楠木美夜(くすのきみよ)』。 18歳の高校3年生。2月29日の閏年生まれ。魚座。A型。被害者は成績優秀で運動神経も抜群。生徒会長にしてバスケ部部長だったそうだ。 意外にも二人の仲は良かったらしい。よく一緒に遊びに行ったりしていたそうだ。 ――それでも、そんな二人の仲を歪ませてしまうような出来事があったのだ。そうでなければ美紗が美夜を殺した理由が分からなくなる。 「そんなに仲が良かったなら、どうしてそんなお姉さんを殺したりしたんだ?」 俺がそう聞くと、美紗はしばらく俯いて黙り込んだ後、再び口を開いた。 「……奪われたの」 「何を?」 「……私の、彼氏を」 どうやら美紗には彼氏がいたらしい。 『奪われた』ということは、美夜が美紗の彼氏を『奪った』のだろうか。それが美紗の『動機』? ――それなら、なんだか納得がいく。 自分の恋人を、よりによって仲の良かった姉に奪われたのだ。そのショックというのは相当のものだっただろう。 「気持ちは分からなくはない。が、殺してしまえばそれは犯罪になり、君は然るべき処罰を受けなければならなくなる」 俺がそう言うと、美紗は俺の方を見て一言、こう聞いた。 「……『死刑』?」
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