FAIRY LAND 最終章

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春澪は澪都の後輩のような存在で、良く世話役をしていたのだ。その時はあまり気にしなかったのだが、ここまで来ると少し厄介な体質だ。 「いいえ、他の皆さんは来ません。お世話になるのは僕だけです。」 そんな、しんみりした演技なんかするな!!それに俺も普通の女の子が女学校に編入するのは構わないが、それをここまで反対するのは………。 「それで、二重身体の暗殺者さんは元に戻ってるのか?」 それが澪都の心配する理由、春澪は変わり者で一応、心は女の子だが、身体は男と女の二つを持った人物なのだ。 それでも年頃になると、どちらかに固定されるらしいのだが、その時期が今時らしい―――。 「う~んとね、今はまだ、どっちにでもなれるけど、そろそろ頃合だから澪都さんの所に行けって元帥が言ってました。」 「あんのエロ爺さん、俺の爺さんと同期だからって優しくし過ぎたな―――――ったく、今更ながら帰らせるのも酷な話だからな。編入試験は受けさせてやるが、落ちた場合は国へ帰れ。合格したらこっちで暮らしても良し。」 春澪に男と女に変化するのをコントロール出来れば問題ないし、周りも協力してくれる。 ちなみに春澪は性別が変わっても体格はそこまで変わりはしない。身長も体重も、胸はそんなに大きくないし、声も変わらず………でも、男と女の違いはハッキリするが、それは俺と佳苗でフォローするしかないさ。 「むっ?澪都さん、今、良からぬ事を考えませんでした?」 「いやいやいやいや、んな事なんか考えてないって………。」 「澪都は春澪が性別変化しても胸はほとんど無いから安心と言ってたぞ。」 何故にそこで心を詠んで御丁寧に説明なんかしちゃってるんですか?凛さん!! 「まぁ、私達はそれなりに胸はあるからな、それに、澪都は何気に胸が大きい方が好きみたいやし………。」 だ~か~ら、林檎は俺の首を絞めるのが趣味なのか? 「残念、私達や茜ちゃんじゃ、お兄ちゃんを満足させてあげられないよぅ。」 だから、自分の胸に手を当てて確認なんかするなよミニミニコンビも茜も、ってか満足ってなんだ。変な知識を与えたのはもちろん桜姉さんしか居ない。 「大丈夫、大丈夫。澪を押し倒しちゃえば、こっちの勝ちなんだからぁ~!!」 なるほど、全ての元凶はアンタの仕業か………って、何で雪野さんも彩子も胸に手を当ててホッとしてんだよ。 「良かった。それなりにはある………。」 早くも前途多難な雰囲気だ。
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