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「はい。澪都さんが言うなら皆には内緒にしておきます。」
「あぁ、ありがとう。」
そして、二人だけの会話を終えて、家の中に入った……………のは、良かったのだが。
「それで、こんな時間まで二人で何をしていたのですか、澪都様?」
佳苗が迎えてくれたのだが、その笑顔はどう見ても怒っていた。背中に春澪の姿があったからか尚の事、怒っている。
「待て待て待て!!遅くなったのは、ついウトウトして寝ていただけで、疚しい事は何一つ無いんだって………!!」
家の中の全員を相手に、被害者となっている澪都は懸命に弁解をしているのだが、さすがに一人でヌーの群れを止める事は出来ない………ので、ここは春澪に助けを頼もう。
「春澪、頼む………。」
「あ、はい。学校で色々あって僕が倒れちゃったんです。その後は澪都さんに看病してもらってから屋上で休んでいたんですが、二人とも疲れていたみたいで、二人仲良く!!眠ってしまいました。」
何故か、二人仲良くを強く強調した言い方だったのはツッコミを入れない事にしよう。
「まさか、澪都、誰もおらん場所で自らの教え子と怪しい関係になったんか?」
林檎………どう考えても、お前の受け取り方はズレている。だから、俺の首を絞めているのを分からんのか、たわけ!!
「何々?春澪ちゃん、澪の事を押し倒しちゃったの。」
アンタも教師なら弟が間違った方向に行かないようにブレーキとなるのが姉の役目じゃないのか?
「ふざけんな。桜姉さんも変に周りを誤解させる言い方をするな………って。」
「むむむっ!!春澪ちゃん。大人しそうに見えていて手が早いのね。私達もお兄ちゃんにはそんな事をしてないのに………。」
ミニミニコンビは作戦会議中、誤解するの早過ぎだって………。
「むっ、レイトは屋上で女子に手を上げるような人ではありません。」
おっ、唯一弁護してくれるのはアンタだけだよ。エレナさ~ん。
「レイトは変態ですから、屋上よりも教室の方で………。」
前言撤回、アンタは毒を吐き過ぎだっての。
「さて、澪都、夕食は他の皆が用意してくれる。それまでは道場で稽古でもするか?」
やばい!!凛が三国志の呂布級の威圧感を持ってやってきた。手に持つ薙刀からは凛の心情を察するかのように炎が見えそうだった。
「うわぁ~………今日の夕飯まで生きてられるかな、俺?」
人生で一番苦痛を感じた一日だった。俺、どう考えても無実なのに………。
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