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フラウロスの言葉で百を越える黒槍が澪都を穿とうとする。
それを………。
「生成、開始。」
造り出したのは澪都の幻想、どんな武器にも耐えられる最強の盾、白煙が舞う中でその盾を掲げながら、澪都は健在だった。
「そ、そんな………。」
驚愕はフラウロスの物だった。百を越える槍と極大の呪いの二つを訳の分からない盾一つで封じたのだ。
「女は殴らない主義なんだがな………流石に戦場で命張ってるのが相手なら加減はしないぞ。」
澪都の声にも冷徹さが篭る。フラウロスは澪都の言葉に圧倒され、たった一歩だけ後退してしまった。
その一歩が澪都の望んだチャンスだった。
フラウロスにとって予測不可能なのは澪都の次の一手、それが読めなかった。
生成魔法を極めた異端者、それは魔術師のレベルを越えて、澪都の今のレベルは魔法剣士の類いなのだ。
「生成・開始。属性付属・工程完了。誤差修正・完了。」
故に武器の限界など無い。澪都が成長し続ける度に造り出す幻想は終わらない。
故に………。
『DEUS_EX_MACHINA.』
―――主は閉じた世界の神の如く―――
『By_The_Holy_Rood…』
―――魔女狩りは炎と共に―――
『Welcome_to_Tomorrow.Beast_Body,Human_Heart.』
―――終わりの夜に終止符を打つ―――
「set・AnLimited LANCE RAIN!!?」
生み出したのは先程のフラウロスの黒槍を遥かに越えた無限の槍、絶対防御を突破する槍、敵を穿つまで追尾し続ける魔法の槍、そして付けられた傷は癒す事が出来ない呪いの槍、有名な槍から、全文法に至る全ての槍が澪都の背後に生み出された。
その数に限りなど無い。それ故に《AnLimited LANCE RAIN》無限の槍雨なのだ。
それを防ぐ事は例え神が相手だとしても不可能である。
それを見て、太刀打ちする事は出来ない。神と崇められた者と言えど、担い手であった神具には限りがある。それを簡単に凌駕している澪都に敵うのは、やはり同じような生成魔法の使い手のみだ。
だから、フラウロスが勝てる可能性は無い。
澪都が指をパチンと鳴らせば、勝負は一瞬にして終わる。
百の黒槍では、無限の槍雨には勝てないし。
百の障壁も、突き破られて勝つ事は出来ない。
「終わりだよ。フラウロス………君が俺に勝つ事は運命的に有り得ないからね。」
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