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「………くっ!!?」
フラウロスが息を呑む。
分かっているのだ。フラウロスの力では澪都の『無限の槍雨』には勝てないと言う事を………。
認めたくなかったのだ。自身の敗北を………。
「アンタはもう少し利口だと思ったんだがな。どうにも意地っ張りらしい。」
少し呆れながらも澪都は片手を前に差し出した。
操る槍は六本、そのどれもが必殺の威力を兼ね備えている神具。
その気になれば一斉照射でフラウロスは蜂の巣になるであろう。
だが、行わない。
澪都はフラウロスの事を見続けている。何かを確かめるかのようにフラウロスには傷を付けず、周りの悪霊だけを破壊していった。
そして………。
「Brake!!?」
澪都の言葉により、無限の槍雨の力は発揮された。
一本一本が閃光となり、フラウロスの槍を破壊する。
そして、その槍がフラウロスを穿つ瞬間、無限の槍雨は幻の如く、姿を消した。
「………どういう意味!?」
疲弊しきっている目には確かに澪都の姿が写っている。
「気が変わっただけだ。まぁ、こちら側にも責任はある。条件付きだが、自由にしてやっても構わない。」
澪都が望む事とは悪事を働かない事、その条件を飲むならば、フラウロスを自由の身にすると言って来たのだ。
「………へぇ、戦いの鬼でもある貴方が私を見逃すと?」
「まぁ、端的に言えばそうなる。そちらも悪いが、こちらも悪い。痛み分けと言う事で終わりにしないか?」
先程の殺気に満ちた瞳はどこへやら、澪都の口調に嘘が無いと分かったフラウロスはやっと構えを解いた。
「貴方らしくないですが、その条件は気に入りました。喜んでお受け致しましょう。」
そして、澪都はお節介モードに突入。
「んじゃ、フレイヤは俺に降参って事で………ついでに茜の治癒もお願いするわ。」
「私は降参なんかしていません………が、仕方ありませんね。」
何かに呆れたかのように、フラウロスは空間転移で澪都の家に向かった。
それからと言うもの………。
フラウロスの治癒で起き上がった茜が冷たい視線で澪都の事を見るし、フラウロス本人は澪都の家に住みたいと駄々を捏るし、大変だったのだ。
「とにかく、フレイヤはロンドンに行ってこい。あそこは魔術師が沢山居る場所だからな。フレイヤの魔法はかなり勉強になるだろう。ついでにイケメン魔術師も居るだろうから、好きにすれば良いさ。向こうなら結構派手にやっても良いみたいだし。」
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