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我ながら恥ずかしい言葉だったが、これが澪都の本心で一切の間違いは無い。
「澪都………そ、それは本気で言っているの、か?」
戸惑いを隠さない凛、澪都の言った言葉を素直に受け取っていた。
「あぁ、本気だ。曖昧な態度を取って茜を傷付けちまったからな。いつまでも煮えたぎらない俺に一喝してくれたよ。」
澪都の性格は本気と冗談が紙一重なのだ。
今回も冗談ではないのか?と凛は無意識に警戒していた。
「だ、だから、わ、私、は………その………。」
言葉が決まらない。凛は自分が混乱している事が冷静に判断出来るのに、澪都に答えを返す事が出来ない。それを見た澪都は優しい微笑みを見せると。
「今回はいきなりだったからな。この答えは凛の覚悟が決まった時に………俺はそれまでずっと待ってるから。」
なんて必殺の言葉を綴った。
凛も顔が真っ赤になってるのは分かっている。
この言葉が冗談でも偽りでも、凛にとっては嬉しい言葉だった。なのに素直に喜ぶ事が出来ない。
凛の事が好きだと言う澪都。
澪都の事が好きだと言う茜。
茜の想いは澪都に告げられた筈なのに、それに答えられない澪都、そして澪都は凛に告白した。
つまり、茜の気持ちだけはスッキリしないのだ。
「アカネは、本当にこれで良かったのですか?」
そんな澪都と凛の姿を見ていたのはエレナと………茜だった。
「はい。ゼロ様は凛さんの事が好きで、凛さんはゼロ様の事が好きなんです。だから、茜が入り込める余地なんて………。」
下唇を噛み締める茜、どんなに虚勢を張ったとしても所詮は女の子に変わりは無い。失恋は辛いのだ。
「相も変わらず、レイトは厄介な場所に居るのですね。皆の想いに答える事が出来ずに苦しんでいる。それでも、やはりこの家の住人は強い。これから略奪し放題ですから、レイトにも同情をします。」
呆れたようにエレナは軽い溜め息を吐いた。誰ともずっと一緒に居たいと言う澪都の想いはここで崩れてしまうのかも知れない。
それでも前のように変わらず皆に接してくれるかもしれない。それは澪都が決める事だが、絶対に悲しませないと心の中には誓いがある。
「はい。ゼロ様が凛さんを好きでも構いません。茜がゼロ様を好きな事に変わりはありませんから………。」
それは決して曲げる事の無い純粋な想い、そんな想いを感じながら茜は星が輝く夜空を眺めていた。
《SS 澪都と茜のお留守番・エンド》
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