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「エンド・オブ・ザ・ワールド!!?(世界の終焉)」
「ラグナロク!!?(天地を分ける破滅の一撃)
「ロー・アイアス!!?(熾天覆う七つの円環)」
唱えたのは三人とも同時だった。
そして全ての負担は澪都を襲ったのだ。雪野と凛の最高の技を一人で防御した。
雪野のは黒い閃光となり、凛のは一筋の光の如く、澪都は七つの花弁となり、二つの力を徐々に弱めていった。
しかし、魔力の負担と二つの力を防御した事で、澪都は動く事が出来なくなってしまったのだ。それを見逃さなかったのが春澪だった。
風のように現れると、瞬きの一瞬で澪都と共に姿を消したのだ。
この争奪戦の終わりは簡単、午後の八時まで澪都を奪い合い、八時を過ぎた時に初めて澪都とキスをしたチームの勝ちと言う、至ってシンプルなシステムで構成されている。
「澪都さん、かなり疲れているみたいですね。ここで少し休ませますか?」
春澪が唯一、澪都の身体を気遣ってくれる。
と、思いたかったのだが、物事が思い通りに行く筈もなかった。
春澪に腕を引かれ、フラフラしながら澪都家に戻った。
「彩子さん、治療を開始します。良いですか?」
このような状況でも春澪だけはいつも通りだったのは嬉しかった。
そこで一瞬だけ油断してしまった。それを見逃さなかったのは………春澪だ。
「澪都さん………。」
瞼を閉じた時に唇に柔らかい感触があった。それは間違いなく春澪の唇、しかし、澪都には抵抗する力も無く、春澪に身を任せていた。
春澪の存在を強く感じる。
だから、守りたい………いや、澪都の心には春澪を守ると誓いを立てた。
「ありがとう、春澪………賞品が手助けするのも何だけど、向こうは本気だからな、こちらも四人になるが、俺は捕まっている事にしておこう。そうすりゃ、向こうもブーイングを起こさないだろうからな。」
澪都の瞳は冷静だった。
ルールなんて物は壊す為に存在する。それは誰かの受け売りだと思ったが、守られ続けるなんて澪都のプライドが許さないのだ。
「澪都さんは、それで良いのですか?」
あちらの方々は最強の一撃を、私達の魔力を軽く超えている技を行ってくる。それを防ぐにはフレイヤでも骨が折れる仕事になるだろう。
「春澪、彩子………他の二チームがこちらに近付いて来ています。」
フレイヤの結界で姿を隠していたのだが、どうやら見つかってしまったようだ。
澪都も右腕に力を込めて、戦闘に備えた。
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